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「Canon PowerShot G3 X」ブロガーミーティング:25倍ズームレンズはEFレンズの技術を踏襲

キヤノンマーケティングジャパン様のPowerShot G3 Xイベントに参加させて頂きました。レポートその2です。

光学設計について、その特長

キヤノン株式会社 レンズ設計 難波様

 

G3Xズームレンズ光学系の斜視図

 

1型の大型センサーに対応しながら、24mm-600mmの高倍率に対応するズームレンズを開発してみたいと考えていたことを実現出来た。

特長その1:ズームタイプ

全部で18枚のレンズ、コンパクトカメラのレンズとしては非常に多くの枚数を使っている設計

18枚のレンズを6つのグループに分けた6群構成
25倍というズームをこの大きさにまとめる手段として、新たに6群ズーム方式を開発した

特長その2:手ぶれ補正

600mmという焦点距離できちんとした絵を撮る為には、手ブレ補正をきちんと機能させる必要がある。

今回超望遠の600mmでも十分な防振を効かせるという観点で第2群のレンズをシフトする防振方式を採用した。

(ちなみに、これまでは第3群をシフトするレンズが多い。これは絞りの近くにある第3群をシフトすることはユニットを小型化する為には非常に効果的である理由から)

600mmというのは画角が非常に狭いので手ブレの角度は相対的に大きくなる。この時に光学系として課題になるのは、

  1. レンズシフトした時の光量を確保すること。
  2. 防振を効かせている時の光学性能を維持すること。

この2点を両立する為にこのような第2群のシフト方式を採用。

特長的なレンズを多数配置

ズーム全域に渡って良好な性能を得る為に為に、いくつか特長的なレンズを配置した。

 

色の分散をなるべく小さくしてくれるUDレンズはHiUDを含めて3枚を採用。

特に600mmの長焦点で色のにじみを効果的に抑える為に贅沢に3枚とした。65倍ズームのSX60HSと同じ枚数である。

球面収差、コマ収差等の各収差を効果的に補正し、結像性能を良好に保つ為に非球面レンズを4枚採用した。

他のプレミアム機種、高倍率モデルより多くを使っている。

このようにして、色の滲みも、結像性能共に良好に保つことが出来ている。

HiUDレンズ/UDレンズ

正レンズと負レンズを組合せて色の滲みをキャンセルして補正するのが色収差に対する光学設計の基本的な考え方。

ピント位置での色の滲みがなるべく少なくなるように設計するが、ぴたりと一致するのでは無く多少の膨らみ(二次スペクトル)が残ってしまう。

UDレンズを用いると二次スペクトルを効果的に低減することが出来る。特に600mmの長焦点で効果的に使われる。

非球面レンズ

ズーム全域で点像をきちんと結像させる為に非球面レンズが有効。

非球面レンズを使わずに球面レンズの組合せだけで構成するともっともっと多くのレンズが必要になる。

非球面レンズを活用することでレンズ枚数を抑えながら、性能を良好に保つという効果がある。

G3X 25倍ズームレンズ作例解説

広角側24mm の作例

24mmによって、景色を広く写すことが出来る。

600mmの作例

遠くの被写体を大きく切り出すことが可能になる。

600mmで距離を寄った作例

望遠端における最短撮影距離はレンズの先端から 85cm。 600mmにしてはかなり寄れる仕様になっている。

寄れることによって、効果的に背景ぼぼかすことが可能になる。

ただ単に24mmと600mmを実現したという切り口だけでは無く、マクロ撮影も是非試してみて欲しい

感想

1インチセンサーに対応する25倍ズームという難易度が高く高度なズームレンズの設計は一眼レフカメラ用のEFレンズの設計手法が確立されているからこそ実現出来たものだと思いました。

特に、今回G3Xはプレミアムコンパクトということで、正に上級者の方が満足するレンズは、やはりLレンズの設計ノウハウを活かすことが出来るのが正にキヤノン様の強みということですね。

 

今回のイベントについて

【協賛】キヤノンマーケティングジャパン株式会社

【運営】アジャイルメディア・ネットワーク株式会社

 

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